大佐のたわごとブログ

目標週3以上更新。8時までに更新がなければお休みです(笑)。短文中心でお互いに発見があるような内容を書いていきたいです。

ギ・ド・モーパッサン『女の一生』読書感想

 さて今回も読書感想です。だんだん読書感想ブログになりつつありますね(笑)。今回はギ・ド・モーパッサンの『女の一生』です。

 貴族の夢見る少女ジャンヌが結婚して、様々な苦難を通じてその一生を歩んでいく話です。それでは読書感想に参りましょう。

 まず最初に思うことは、この作品は体感時間を軸に書かれている気がしました。人生の体感時間は俗説ですが19歳を折り返し地点としている説があります。

 それぐらい若い時期は体感時間が長く、出来事や思い出を明確に思い出せます。反面20を過ぎてからはルーティンが多くなり、同じ1年でも記憶上では短いものになりやすいです。

 本作も少女時代のジャンヌ~彼女の人生の頂点だった新婚旅行まではわりと時間をかけて描写されます。そこから息子の成長する過程はガンガン端折られ、残酷なほど速足で時間が経過していきます。

 

 あとは当時の女性の一生は「結婚運ゲー」だったんだなと思い知らされます。夫が悪いとこうも人生ハードモードになるのかと(苦笑)。バルザックの『谷間の百合』のアンリエットみたいです。

 若いころは男前でいい人…がその印象を信じてスピード婚したら、本性を現していきクズ夫という。世の女性は本作のジュリアンみたいな男に気を付けましょう(笑)。

 結婚運ゲーをさらに強調するのが、姉妹的存在のロザリー。災難には合うものの、それをきっかけに良い夫に恵まれ、堅実な人生を歩んでいきます。

 

 もう1つ思うことは「人生何かにオールイン(全賭け)するのは危険」ってことですね。ジャンヌは息子のポールを溺愛し、彼に全ての生きがいを捧げてしまいます。

 その結果、とんでもない放蕩息子になり、女と駆け落ちして金の無心の手紙しか送ってこない始末。息子を甘やかすのはほどほどにしましょう(笑)。

 

 一言でいうと「夢見る少女ジャンヌは夢破れ、夢見ぬロザリーは地に足ついた生き方をした」ですね。あなたはジャンヌ?ロザリー?どちらの一生を歩みたいですか?

 良い作品でした。本で欲しいレベル。傑作。前回読んだ『マノン・レスコー』みたいな反面教師タイプの本なので、人を若干選びますが、間違いなく面白いです。