今回も読書感想のN.Hクラインバウム作の『いまを生きる』です。本作は映画としても有名な作品です。映画が先にあってノベライズされたのが本作という、よくある流れの逆を行く作品です(ヒットした漫画・小説が映画化される方が多いかと)。
元々が映像作品であることを考えればノベライズから入るのは若干良くないかもしれませんが、知らずに手に取ったので(笑)。映画版は見ていない人の感想になります。
あと若干のネタバレを含みます。ネタバレなしで読みたい人は映画か小説を買って読みましょう。おすすめできる出来です。それでは感想に参りましょう。
ざっくり概要を伝えると、やや型破りな先生がやってきて授業よりも「人生で本当に大切なことは何か?」みたいなことを教えるタイプの作品です。
この手の教師モノは『金八先生』とか『GTO』など何度も繰り返されてきたテーマと言えます。まあありがちな話と言えます。なんですが本作は時を超えて残る作品として十分な面白さを持ちます。
タイトルにもあるように「今を生きる」ことの重要性を説くキーディング先生。それに感化された生徒が自分なりに今を生きようとします。
何より一番は青春という時代の素晴らしさと危うさを両方表現できていることです。全力で生きた結果は...明暗の分かれるものとなっています。
型破りな先生にありがち(お約束)な、授業なんかくそくらえ!な展開ももちろんあります。中でも好きなのは集団の中にいると、同調圧力に支配されやすくなるというのを生徒たちに実感させる話ですね。これは秀逸だと思いました。
まあ、正直「地獄学園にようこそ」なんていう学校ですからね。ダメ教師も凄いし、親も今風に言うと毒親が結構でてきます。なお、毒親・ダメ教師を分からせてスカッとする話ではありません。そこが本作が他の作品と一線を画するところかもですね。
少しネタバレしますが本作はハッピーエンドではないです。しかし意味のあるバッドエンド(ハッピーでないエンド)は良いと思う筆者としてはアリだと思います。
やや無理矢理ハッピーエンドにするのは商業主義(売れるため)だとすら思いますし、作品をただの感動ポルノの類に堕することもありえると思っています。なので必要ならば作者はバッドエンドを選択すべきと僕は考えています。
教師も生徒も若さ炸裂!思い切り生きたものたちの結末は是非本作を読む・観るなりしてお楽しみください。良い作品だと思います。良作!