大佐のたわごとブログ

目標週3以上更新。8時までに更新がなければお休みです(笑)。短文中心でお互いに発見があるような内容を書いていきたいです。

ヴォルテール『ガンディード』読書感想

 こんばんは、今日も読書感想いってみたいと思います。今日扱うのはヴォルテールの『カンディード』です。

  ヴォルテールは哲学者で主に18世紀(1700年台)に活躍した人です。『社会契約論』のルソーと同世代の人間です。前置きはここまでにして本編に参りましょう。

 まず第一にストーリは若干めちゃくちゃな印象があります。急転直下な展開も多く、エンターテイメントとして面白いけど…ついていくのも大変なストーリーかなと。

 素直で疑うことを知らないカンディードが、クネゴンデ姫とキスしたのが原因で屋敷を追い出されることを発端に始まる波乱万丈の旅。

 この出だしは聖書の「エデンの追放」のようなスタートといえます。楽園ともいえる屋敷を追われたカンディードに現世の苦難が雨あられと降り注ぎます。

 

 後に屋敷の人間たちも戦争で襲撃されて散り散りになり、冒険の途中で再会していきます。皆、様々な苦難にさいなまれた状態での再会となります。

 中でも学者のパンゲロスは「最善説」と呼ばれる、この世のすべては現在の状態が最も好まましいみたいな、現代目線だとメチャクチャな論法の先生です(笑)。

 この「最善説」を主人公も信じていたものの、様々な苦難を体験、善人が死んだり掠奪されるのを見て、それを脱却していく様は一つの見どころでしょう。

 

 最終的になかなかに荒唐無稽なストーリーを経て、主人公が出す結論はなかなかに良いことを言っており、納得が行きます。そこは最後まで読んでのお楽しみで。

 当然ですが本作はかなり物議を醸したみたいです。ヴォルテールは人生バスティーユ(牢獄)に何度かブチ込まれていている人ですしね(笑)。

 まあ、当時思った事を言うって大変だったんですね。言論の自由のすばらしさを痛感させられます。

 

 感想としては面白いけど、ストーリーはややメチャクチャ。表現したいことが主役であってストーリーはそれに合わせてあるため、それを踏まえて読む必要があります。

 ファンタジーでもリアルでもない。哲学的な論旨を優先した物語って感じです。面白いけど所有するほどの魅力は感じられませんでした。最後の結論はいいんですけどね。

 

 しかし…カンディードクネゴンデ姫好き好きやろと(笑)。理想郷エルドラドを出て、途中の苦難もクネゴンデ姫に会えることを望みに堪え凌ぐ様は、一途を通り越して、狂気にも近いものを感じます。

 そんなカンディードですら老け込んだクネゴンデ姫を見て、いやいや義務感から結婚を申し込むって…どんだけ醜くなったのかと(笑)。オチはこんなところで終わりにしたいと思います。