今日も読書感想です。GWで読書感想が捗っています(笑)。今日感想を書くのはロシアの文豪中の文豪のドストエフスキーの『賭博者』です。
ネーミング的に『賭博黙示録カイジ』のような内容をイメージする方もいますが、全然違います。今日はこの作品に対する感想を書いていこうと思います。
まず本作の出版の背景にあったのが、著者が賭博の借金のために理不尽な契約を結び、超短期間で描かれた作品ということです。
さらに大名作『罪と罰』の連載と平行して書いた作品というのもかなりヤバめですね(笑)。どんだけお金に困っていたのかと…。ギャンブルって恐ろしいですね。
基本的に本人の自伝的色合いが強い作品です。それを短期間で書いたので練り込みが弱く、教訓となる要素も少ないように感じました。事実ベースのためか話もやや荒唐無稽でまとまりは弱いなと思います。
仕方のないこととはいえ、天才でもお金のために慌てて作品を書くと良いものを書くのは難しいんだなと、実感させられました。
ただギャンブル中毒の描き方や、ビギナーズラックで気分を良くしてお金を擦っていく様子。賭博場で行われる盗み、両替のレートの劣悪さなどの描写は凄くリアルですね。ここはガチすぎるほどガチです(笑)。
一番は負ける時のあっさりとした描写。文学的な脚色なしでドラマチックでもなく、あっさりお金が無くなっていく様がリアルだなと思いました。
悪くないです。ただドストエフスキー作品としては五大小説(※1)よりは優先度低めで良いと思います。傑作寄りの良作だと思います。